私が内輪で作ったドミニオン:大航海時代の制作秘話などをまとめたものです。
カードリストはこちら。
書き出し
ここ最近ドミニオン熱が復活し、暇なときにオリカを考えてはメモにまとめていました。
そうこうしている内にオリカを実物で遊びたくなったのですが、昔とはリアル環境が変わっており、以前制作したオリカのカードから編集用のデータまで全て失っている状態でした。
いい機会なので、今までの制作過程をすべて見直して1から作り直してみました。
以前はMTGのカードを下地にしていたのですが、今回はドミニオン本家のカードを使用しています。そのおかげで、本家のドミニオンと混ぜて遊べるようになりました。また以前はオリカのカード絵にMTGの絵を使用していたのですが、今回はAIで生成した画像を使用しています。
メカニクス
多様性
最初に生まれたテーマです。公式では収穫祭がありますが、それ以外では多様性に着目したカードはあまり多くないように思います。もし収穫祭2が発売されたら、と妄想しながらカードを作っていきました。
当初はこのテーマの主張がもっと激しかったのですが、現在は少し薄まっているかもしれません。
持続
多様性の次に生まれたテーマです。当初は多様性のテーマとはあまり関係なく、「ドミニオン:Plunder」に感銘を受けて思いつくままに持続カードを作っていました。
作っている内に持続と多様性の相性が良いことに気がつき、大型拡張になりました。
疑似圧縮
多様性や持続をテーマに沢山のカードを作ったのですが、今回の拡張の目標である500枚にはまだ届いていませんでした。そこで製作途中の大航海時代を眺めていると、今拡張は出力の不安定になるサプライが多いことに気が付きました。
それならその不安定さを加速させてしまおうと思い、当時足りなかった圧縮カードと組み合わせて「疑似圧縮」というサブテーマが生まれました。
後半に追加したサブテーマだったんですが、大航海時代を象徴する要素になっている感覚もあり、結構満足しています。
報酬
「サプライ外に村や鍛冶屋を置く」というアイデアは昔からありました。例えば、村が存在しないと面白くならないカード(アクション権を2つ消費するなど)を作りたいとき、そのカードとセットでサプライ外に村を用意させることでこの問題を解決することができます。しかしこのアイデアにはいくつかの問題点があります。
最大の問題は、「工房で村や鍛冶屋を獲得する」行為との差別化が難しい点です。例えば「サプライ外の村を獲得する」というカードを考えます。このカードと工房と村が同じサプライに出てきたとき、この二つはあまり差のないカードになってしまいます。そういうサプライが頻出するのは避けたかったのです。
また、サプライ外のカードを枯れるまで獲得する行為が嫌というのもありました。三山条件に影響を与えないサプライ外の村をただ10枚獲得するゲームにもしたくなかったのです。
そもそも、既に存在するカードと全く同じ効果のカードを作っていいのかという問題点もあります。
久々のオリカ制作だったので、改めて「サプライ外に村や鍛冶屋を置く」というアイデアに取り掛かることにしました。
まず既存のカードとの差別化のために、持続カードにしてみました。また今回は多様性がテーマなので、持続カードであることを活かして「あなたの場に出ていない」という制約をつけてみました。
この制約によって、「サプライ外から村を大量に獲得する」ことができなくなりました。また持続カードですから、そこまで枚数を集めなくてもある程度の出力を期待できます。偶然にもいい感じに出来上がりました。
「海沿いの村、輸送船、財宝船」の3種類はすぐ決まったのですが、残りの1枠(漁港)には時間がかかりました。最初は純粋な勝利点で、「あなたのデッキにあるカード3種類につき1勝利点。ただしこのカードの2枚目以降は1枚ごとに-1点をする」というものでした。例えばデッキが12種類なら、1枚目から順に「4vp,3vp,2vp,1vp,...」となるような勝利点を作りたかったのです。複雑すぎるし、持続カードでもないことから消えました。
「アクション、ドロー、コイン」と続けば、残りの1要素は当然「購入権」です。キャントリップで購入権を2ターン生み出すカードを作りましたが、これは明らかにカードパワーが劣っていました。
この2つを組み合わせたところ、バン。今の形になり完成しました。
廃品
正直に白状すると、これはslay the spireの「めまい」です。
slay the spireを遊んでいて「これドミニオンでも面白そうだな」と思う要素が結構あり、その中でも「めまい」をドミニオンに落とし込んでみました。
最初は呪いや廃墟のようにサプライに置くカードでした。枚数は呪いと同じくプレイ人数で変動し、使用時効果も「これを廃棄する」というものでした。実際に使ってみるとアタック以外の用途が多かったので、馬のようにサプライ外に置く形になりました。
取引
多様性というテーマから、王国カードを別のカードとして使用できたら面白いのではと思い、このアイデアが生まれました。
最初は財宝カードをアクションカードとして使用できる、というものでした。 例えば、「銀貨をアクションフェイズ中にアクションカード「+2 カードを引く」として使用できる」など。
面白そうなアイデアだと思った(今でも思っている)のですが、ルール上の問題をどうしても解決できませんでした。「アクションカードとして使用する」という処理が意外と難しいのです。
ドミニオンにはアクション-財宝がいくつかありますが、「アクションカードとして使用する」「財宝カードとして使用する」という"として"の概念があるわけではありません。冠は「アクションフェイズなら」「購入フェイズなら」というようにフェイズで分けていますし、あるいは資本主義化の執事ならアクションフェイズでも購入フェイズでも効果は変わりません。どちらにせよ、アクションフェイズだろうが購入フェイズだろうが同じ効果文を読み下して処理をしているわけです。
では「銀貨をアクションフェイズ中にアクションカード「+2 カードを引く」として使用できる」という効果は、どう対応させればよいでしょうか?
冠のようにフェイズで区切る手は一つあります。しかしそうすると、闇市場で銀貨を使用したときの挙動が変わってしまいます。
資本主義化の執事を参考にするなら、カードの使用時に「+2 コイン」「+2 カードを引く」を選択できるようにする手もありそうです。しかしこれだと購入フェイズに「+2 カードを引く」を使用できるようになってしまいます。
習性のように、カード使用時に効果を選択できる方式も考えました。使用時にカードタイプが決定される、ということです。しかしこれはいかにも危険な匂いがします。もし家臣で銀貨を公開したらどう処理しましょう?量子ドミニオンが始まりそうです。
結局このアイデアは頓挫し、現在の形に収まりました。
イベント
報酬や廃品があるならこれを活かしたイベントも作りたいということで、今回初めてイベントカードを製作しました。
王国カード
通常カード
・見張り塔
後半に生まれたサブテーマ、疑似圧縮によって生まれました。
最初は魔女の効果がついて5コストでした。持続することで呪い撒きのスピードが遅くなるのが面白いだろうと思ったのですが、実際には山が枯れるまで購入されるだけでした。そこで呪い撒きの効果をなくし、現在の形になりました。呪いを脇に置けるのは、当時の名残です。
釣り人にも共通することですが、最初は「+1 カードを引く」の部分がありませんでした。それだとカードを脇に置く理由が弱く、いまいち魅力がありませんでした(当時は魔女だったので、簡単に捨て札にさせないためのカウンターのような役割でした)。「+1 カードを引く」を思いついたときはパンヨッシャでしたね。
・伝書鳩
オリジナル拡張:第二の「蚤の市」をリメイクしたものです。2コストかつアタックでないインタラクション要素のあるカードを考えていたところ、蚤の市に白羽の矢が立ちました。
蚤の市は当時から人気カードだったのですが、問題点もありました。使用回数に差が出るという意見が多かったので、山札の上に置くことでプレイヤー間の回りを早くしました。獲得手数が勿体ないという意見もあったので、購入しやすくしました。
お気に入りのカードです。インタラクション系カードはやっぱりいいですよね。
・補給物資
もともとは4コストで、保存効果の代わりに「手札からアクションカード1枚を脇に置いてもよい。そうした場合、あなたの次のターンの開始時に、それを使用する。」というものでした。悪いカードではなかったのですが持続カードと組み合わさったときの処理が非常に難しく、現在の形になりました。
・船旅
略奪の現場監督を参考に作ったカードです。再帰という概念をドミニオンに落とし込んだ現場監督のアイデアはとても好みだったので、アレンジしたカードを作ってみました。
現場監督との差別化のために村にはせず、持続して嬉しい効果ということでドローに焦点が当たりました。ただ雇人のような研究所系列にはしたくなかったので、倉庫系に決まりました。多様性がテーマということから、この条件になりました。
この拡張らしくて好みなカードです。
・渡し守
公開リアクションというところから始まったカードです。多様性をテーマにすると手札を公開する機会が多く、公開リアクションを作りたくなったのです。
元々は+2カードだけではなく、+2コインを選択することもできました。選択肢が2*2=4なのが面白いと思ったのですが、実際に遊ぶと煩雑すぎました。+2コインの代わりに獲得時にもリアクションできるようにして、現在の形になります。
・岩陰の隠れ家
疑似圧縮のテーマから最初に生まれたカードです。
最初は+1 アクションがついており、脇に置いた後に手札が5枚になるまでカードを引いていました。コストは据え置きです。カードパワーが壊れていることは承知した上で、それでもゲームは面白くなるだろうという判断でした。実際に遊んでみたところ許容できない狂い方をしていたので、ナーフを繰り返し完成しました。
・露店
全く変更されていないカードです。こういうシンプルなカードもいいでしょう。
・休息地
終盤に作られたカードです。
ある日、この拡張に「アクション-リアクション」が存在しないことに気が付きました。多様性をテーマとしているのに「アクション-リアクション」が存在しなくていいのか?と。そのとき村のスロットが1枚空いていたこともあり、このカードが生まれました。
最初は公開すると脇に置いてターン終了時に手札に加えていたのですが、選択的になりすぎるのを避けました。
・便利屋
令和のよろず屋を作る、というところからスタートしました。
前半の効果は没リストから引っ張り出したものです。圧縮カードの引き格差を是正してて悪くないのですが、単体で採用できるほどではなかったんですよね。
結構自信のあるカードです。よかったら使ってみてください。
疑似圧縮のテーマから生まれたカードです。
手札以外から脇に置く疑似圧縮が欲しいということで、自然と資料庫のようなカードになりました。+1コインは令和分です。
・密輸品
元々は報酬を獲得するカードでした。
なんとなくパッとせず長いこと没カードに入れていたのですが、多様性というテーマから工房系がもう1枚欲しくなり、コスト5以下のカードを獲得するように変更して収録しました。廃品もありますしね。
・鑑定士
持続カードと相性の良いカードを考えていたときに生まれたカードです。
元々は5コストで「+3コイン」でした。序盤に入れたい効果なのに序盤に入れられないというジレンマが面白いと思ったのですが、人気がなかったので使いやすくしました。
・船大工
終盤に生まれたカードです。
このスロットにはもともと別の工房が入っていたのですが、処理や文章の煩雑さから没になりました。シンプルな工房が必要とされていたので、代わりにこれを収録しました。
・中心街
最近のドミニオンでは5コストの村が定番になっています。自分も作ってみたかったので、多様性と組み合わせてこのようにしてみました。
細かい言葉遣いを除いて、最初から変更のないカードです。
・貿易船
元々は海辺第二版の封鎖のようなカードでした。そのコンセプトは上手くいかず、最終的には貨物船効果を強めて現在の形になりました。
聖なる木立の影響で、5コストの「+1購入、+3コイン」というアクションカードは下手に手を出せない領域になっています。このカードは良くも悪くも持続することから使用感がかなり変わっており、収録することができました。
結果的に疑似圧縮のテーマを強めるカードになっていて、そういう点でも満足しています。
・魔女の森
捨て札を参照するカードに一時期ハマり、その時に生まれたカードです。全く変更されていません。
・定置網
元々は条件を満たしたときに、+1アクションに加えて呪いを撒いていました。後打ち有利な魔女、というわけです。実際に試したところ強すぎたので、現在の形になりました。
・改装
終盤に追加されたカードです。元々入っていた改築がどれも上手く働かず、疑似圧縮のテーマと組み合わせてこれを追加しました。
すぐ思いつくカードという感じで作ったときはあまり納得していなかったのですが、内輪では割と評判の良いカードです。これくらいシンプルな方がいいのかもしれません。
・釣り人
前々から「銅貨、銀貨、金貨を1枚ずつ獲得する」というカードは作ってみたかったのですが、効果が極端なために調整が難しく毎回没になっていました。今回は疑似圧縮のテーマと組み合わせることで、収録することができました。
最初は「他のプレイヤーが持続カードを使用したとき、手札から使用してもよい。」というリアクションがあり、2コストでした。効果が見慣れないものだったので、カードパワーが分からなかったのです。実際に試したところ狂っていたので、すぐに5コストに上がりました。
それからしばらくはそのままだったのですが、ある日外のプレイヤーを交えて遊んだ時に「全体的に煩雑」という感想をいただきました。そこで拡張全体のシンプル化に取り組んだとき、このカードのリアクションは生き残れませんでした。割と好きなリアクションだったんですけどね。
・精錬所
終盤に追加されたカードです。
最近は引き上げ水夫の再評価の流れが来ているように感じます。公式でも「仲買人」「坩堝」と作られています。しかしどれも4コストで、購入権をなくすことで差別化をしています。
購入権のついた引き上げ水夫が作りたかったので、代わりに条件をつけることで差別化をすることにしました。これも最初から変更のないカードです。
・羅針盤
元々は報酬を獲得するカードでした。アクション、財宝でないカードを脇に空いた場合、次のターンの開始時にそれを捨て札にして報酬を獲得していました。
それは報酬を獲得するためだけのカードになっていました。アクションや財宝を使用する効果は面白いので、そちらをメインに据えることで現在の形になりました。
・貴族の馬車
元々は4コストでした。条件付きのハイスペック玉座が4コストにあるのは面白いと思ったのです。あまりに狂っていたため、すぐに5コストに上がりました。しばらくはそれで問題なかったのですが、5コストでもオーバーパワー気味だったので6コストになりました。
多様性と玉座を組み合わせたカードはいくつかあったのですが、最終的にはこれが生き残りました。
・積み込み係
開発終盤に5コストから6コストに上がったこと以外、特に変更のないカードです。
多様性というテーマから生まれたカードですが、持続カードと相性が良い点にも満足しています。
・滝
大航海時代は長いこと勝利点カードのスロットが空いていました。多様性と勝利点カードを組み合わせると、品評会になってしまうのです。
品評会との差別化のために、場に出ている枚数を数えることにしました。最初は10コストで、「場にあるカード1種類につき」というものでした。アクションカードでもコストが下がっていたのです。
内輪で遊んでいるときは問題ないと判断していたのですが、外のプレイヤーを入れたときに「コンボを組んでいるだけで勝手にコストが下がるのが面白くない」という指摘を受けました。確かに品評会なら、品評会のためにデッキを歪める選択肢があります。ブドウ園でも、ポーションという回り道をする必要があります。このカードはそのようなプレイの幅を提供できていませんでした。
最終的には財宝カードを参照することで解決することにしました。以前ほど派手なカードではないですが、4勝利点というのはゲームにそれなりの影響を及ぼすはずです。
報酬を用いるカード
・宴会主
使者系のカードを作りたいという願望は昔からありました。今回は多様性というテーマとも噛み合っているので色々作ったのですが、全て没になりました。
ある日、使者と報酬を組み合わせることを思いつき、あっという間にこれが完成しました。上半分の効果はキャントリップのような雑に集められるものでなければ何でもよかったのですが、私は木こりが好きなので木こりの効果を持ってきました。
宴会主が10枚買われると報酬もちょうど40枚なくなる点が地味に好みです。宴会主というネーミングも気に入っています。
・海の開拓者
山札の上に報酬を獲得するようにした点以外は特に変わっていないカードです。
海の開拓者というネーミングが気に入っています。新しい土地を発見したものの、亡くなってしまったのでしょう。
・異文化交流
大航海時代で最後に追加したカードです。羅針盤が報酬を獲得しなくなり、新たに報酬を獲得するカードが必要になりました。この枠にはいくつかのカードがありましたが、最終的にはこれが生き残りました。
下線部以下の効果を思いついたとき、問題はそれに合う上半分の効果でした。村や鍛冶屋のような連打しやすいカードだと、枯れるまで買うだけのゲームになるでしょう。例えばこれが「+2 カードを引く」だったら、異文化交流と村をひたすら集めて異文化交流を輸送船に変換するだけの展開になるはずです。
よって連打しづらく、報酬とも相性の悪いカードにする必要がありました。そこで書庫が採用されました。
・航海図
最初は「コスト4以下のカード1枚か、あなたの場にない報酬1枚を獲得する」という効果でした。シンプルに壊れていました。
・新天地
同盟の将軍からインスピレーションを受けて作ったカードです。
最初は報酬の獲得がなく5コストだったのですが、報酬との相性が良いことに気が付き現在の形になりました。
廃品を用いるカード
・その場しのぎ
廃品関係では終盤に追加されたカードです。廃品を扱う2コストのカードが欲しかったので作りました。
この枠にはこれと「+2 カードを引く、+1 アクション、廃品1枚を獲得する」というカードがあったのですが、存在意義のあるカードのが面白いだろうということでこちらを採用しました。
ネーミングがとても好みです。身内ではよく盛り上がります。
・解体屋
廃品の新たな可能性を模索したとき、圧縮と組み合わせることを思いつきました。遅い圧縮というわけです。
この枠にはいくつかのカードがありましたが、「廃品というシステムを活かしている」「遅い圧縮なら低コストの方がよい」ことからこのカードを採用しました。
・採掘者
廃品を用いたシンプルなカードです。シンプルなカードはそれだけで価値があります。
最近のドミニオンでは、パトロンやゴンドラのような4コストの銀貨というのがアリになってきている印象があります。その枠…というには変則的ですが、4コストの銀貨を収録できたことに個人的には満足しています。
・石車
廃品と多様性を組み合わせたカードです。初期からあり、全く変わっていません。
勝利点購入にしか使えない金量を生むカード、というアイデアは昔からあり、変則的ながらその要素を入れられたことも満足しています。
・強盗
「廃品1枚を手札に獲得し、手札が4枚になるまで捨て札」というアイデアは廃品の初期段階からありました。5金を潰さない民兵ですね。
この効果自体はかなり有力だったのですが、組み合わせる先がなくメモ帳に長いこと眠っていました。「+2 コイン」をつけると、村のない2人戦なら明確に民兵の下位互換です。かといって3コストに置くのも違いそうです。「+3 コイン」なら5コストに置けそうですが、あまり役割を感じません。かといってドローやアクションをつけると、無限廃品アタックでゲームが壊れそうです。
時期を空けてある時、「山村」「急使」系のカードが作りたくなりました。この手のカードは引くタイミングに依存しすぎるので、事故回避のドローや捨て札がついています。そういう保険なしで実現することはできないだろうか?
そのときに上のハンデスを思い出しました。山札の下で引きたいカードと上で引きたいカード、組み合わせたら面白いんじゃないかと。
そしてまあ、上手くいきました。今拡張で1番思い入れのあるカードでもあります。
・暴徒
廃棄系アタックを作ってみたいという欲求は昔からありました。しかしその度に、友人に「デッキを成長させるゲームでランダムにカードを破壊して何が楽しいのか?」と説得されていたのでした。
今拡張はアタックが不足していたため、もう一度騎士に取り掛かってみました。まずはランダム性を弱めるために、手札から廃棄させてコスト2以下なら呪いを獲得するようにしてみました。しかしそれだと屋敷や呪いを廃棄するだけになりそうです。屋敷と呪いを廃棄した時にペナルティを与えたかったのですが、上手い条件が思いつきませんでした。
結局、カード名を直接指示する形になりました。本当は廃品廃棄時にもペナルティを加えたかったのですが、文章が長くなりますからね。旧廃品を模しているのも面白いのかなと。
魔女の森が呪い撒きとしては遅いカードだったので、ゆるい魔女を1枚追加できて良かったです。
・襲撃船
アタックカードでは最後にできたカードです。魔女、民兵、騎士が既にあり、もう一枚廃品関係のアタックを採用したいと思っていました。
ここの枠には色々なカードがありましたが、相手の行動に廃品でペナルティを与える、という構造は変わりませんでした。1番有力だったのは貨物船+封鎖でしたが、それは上手く行かず貿易船になりました。
相手のアクションカード使用に対して廃品を配る案もありましたが、プレイが面倒なのが目に見えてました。なので金貨になりました。
取引
取引-銅貨
・処分
最初期のカードです。まあ、非常にわかりやすいですよね。
+1 購入をつけるか最後まで悩んだカードでもあります。+1 購入をつけた方が戦略的になるでしょう。シンプルさを優先しました。
・小商人の知恵
処分の下位互換です。明確な下位互換を採用していいものか悩みましたが、まあ、楽しかったので。
・銀細工師
一時期は「1ターンに1度のみ」の代わりに「手札が0枚なら」という条件でした。5-2の2が強すぎると感じたのです。結局、シンプルな方を選びました。
・故郷への送金
これも最初期のカードです。分かりやすいですね。
持続タイプをつけていいのかとても迷いました。偽造通貨で銅貨が使用できないのはギリギリ許容するとして、焚火との組み合わせをどう見るか。
見なかったことにしました。
・種まき
銅貨の取引を製作するにあたって上4枚はすぐに決まったのですが、種まきと航海日誌は少し時間がかかりました。初手に影響を与えるというのは当たり前ですが、重たいんですよね。
金量系はやり切ったと思ったので、ドローカードを作ることにしました。一番大事なことはキャントリップにしないことで、そうなると選択肢は限られていました。山札の上に置く案と捨て札にする案がありましたが、こっちのが面白いですよね。
・航海日誌
実は最近まで、種まきと航海日誌が似ていることに気が付いていませんでした。並べてみるとかなり似ていますね。
とはいえ役割は結構異なっていますし、いいでしょう。
取引-銀貨
・密談
銀貨の取引では一番最初に生まれたカードです。これまた分かりやすいですね。銀貨は呪い派の方に、どうぞ。
・商人の貯蔵庫
最近は秘密の部屋系のカードが少ない印象があります。風車小屋のようなオマケ効果ならいいんですけど、メインに据えられるとわざわざ買うほどじゃないんですよね。かと言ってサブ効果に置くには、文章が少し長すぎる節があります。
そういう効果がちょうどよかったので、採用しました。
・商人の銀行
使われないサプライの方が多いと思います。まあ、こういう夢があるカードもたまにはいいかなと。
・秘密の金庫
元々は銅貨の取引から生まれた効果です。故郷への送金(次のターンの開始時に+1 コイン)を持続カードにしたくなく、脇に置いて手札に加えることを考えたのですが、当然ゲームは壊れます。アイデアは良いと思ったので、銀貨で採用しました。
・使い走り
取引の前身で、「銀貨を「+2 アクション」のアクションカードとして使用してもよい」という横向きカードがありました。この横向きカードは消えてしまったので、このような形で移植しました。
・交渉術
手札1枚を廃棄できる取引は最初期から案にありました。銅貨は軽すぎ、金貨は重すぎで銀貨に焦点が当たるのは自然な流れです。
廃棄だけでも良かったのですが、それだと単純すぎてあまり納得がいっていませんでした。かといって、追加効果をつけたら3コストの効果ではなくなってしまいます。
別の取引で手札を保存できるものがありましたが、そちらもあまり納得がいっていませんでした。そこで試しに組み合わせてみたところ、バン。完成しました。
取引-金貨
・商船の派遣
金貨の取引では初めに生まれたカードです。分かりやすいですね。
金量を次のターンに送るというカードは「故郷への送金」「秘密の金庫」「商船の派遣」と各1つずつありますが、それぞれ差別化できていて満足しています。
・資金調達
元々は「これを廃棄する。+4 コイン」というものでした。少し時間を空けて、+4コインより銀貨2枚の方が面白いだろうと思い、この形になりました。
・急襲
シンプルに廃品を配るアタックカードは王国カードでは作りませんでした。遺物との差別化が難しいんですよね。
取引だったらいいだろうということで、作りました。
・海賊の隠れ家
自分自身を獲得するカードが昔から好きで、また作ってしまいました。
・異国の市場
元々は「サプライにあるコスト4以下の命令カードでないアクションカード1枚を、動かさずに使用する。」という効果でした。
サプライによって上振れ下振れが激しいことに納得がいかず、そこから「これを廃棄する。コスト4以下のカードを獲得して使用する。」という効果になりました。
そこからコスト5以下のカードが取れるようになり、最終的には呪符の巻物になりました。
・鍛冶屋への依頼
元々「取引」という名前ではなく「依頼」だった時代があり、その頃にフレーバーで作ったカードです。
そのまま生き残りました。
イベント
・契約
大金!こういうデカいイベントが作ってみたかったのです。
寄付ほどではありませんが、別ゲーになります。テストプレイでは賛否両論、むしろやや否よりだった気もしますが、私のワガママで採用しました。私は好きです。
・発掘
元々は1コストでした。強すぎたので、2コストになりました。
廃品は逆馬みたいなところがあり、これは特に分かりやすいですね。
・貿易会社
廃棄するのが銀貨ではなくアクションカードだった時代もありました。航海図、危難と被っていることから、銀貨になりました。
・港の使者
イベントの画策は昔から作りたいと思っていました。引ききりコンボ御用達カードにはしたくなかったので、このような条件をつけました。
・移動民族
多様性から生まれた単純なカードです。
・外交使節
こちらも多様性から生まれたカードです。
かつては「このゲームで公領はアクションカードでもあり、能力「+1 アクション、+2 コイン」を持つ」という横向きカードが存在しました。これは消えてしまいましたが、このテイストを残せたことに満足しています。
・密輸
「廃品1枚を獲得する。コスト5以下のカード1枚を獲得する」という4コストのイベントがありました。特価品ですね。
悪くないけど捻りが欲しいなーと思い、密輸人になりました。
・荒地整理
おそらく大航海時代で最後に追加したカードです。元々はアクションカードで、解体屋に負けて没になりました。
ただ、廃棄した次の周は1枚廃棄、その次の周でさらに1枚廃棄というアイデアはかなり好みだったので、イベントカードにして収録しました。
・探検隊の遠征
最初は「手札が5枚になるように捨て札にする」の文章がありませんでした。Wow
そういうバカイベントがあっても面白いかなーと思ったのですが、さすがに許容されませんでした。そもそも暴走もありますしね。現在でも十分強いです。
・裏取引
密輸でも語りましたが、「廃品1枚を獲得する。コスト5以下のカード1枚を獲得する」という4コストのイベントが以前はありました。収穫祭を眺めていた時に魔女娘が目に入り、組み合わせてこのようなカードになりました。
それからしばらくして、公式の収穫祭&ギルドで渡し守が登場し、気軽に考えていた「サプライ外に追加で置く」という効果が複雑だったことを思い知ったのです。
・秘密の航路
多様性から生まれたシンプルなカードです。「別名のカード2枚」と書くよりこちらの方がシンプルですよね。
コストを指定した獲得カードはいくつかあったのですが、これが生き残りました。
・宴の招待
10コストのイベントである大航海の後に生まれたカードです。
公領だけだと物足りなかったので、持続カードであることを活かして獲得時使用とヴィラをつけました。
・海賊の暗号
沢山のカードを獲得する大きなイベントはいくつかあり、最終的にこれが採用されました。無難ですが、こんなもんですかね。
・大航海
初期に作られたカードで、特に変わっていません。
没カード
・宴会場「あなたの左隣のプレイヤーはカード1枚を指定する。あなたは手札から、このターン宴会場で指定されていないアクションまたは財宝カード1枚を3回使用してもよい。」
3コスト。多様性と玉座を組み合わせたカードです。宴会と宴会場と宴会主が全て3コストなのも好きでした。パーティー感があるのも好きでした。実際にプレイしたら、煩雑すぎて盛り下がりました。
・定置網「山札の上から5枚を公開する。異なる名前のカードを1枚ずつ手札に加え、残りを捨て札にする。」
5コスト。当然ながら多様性をテーマにしたカードですが、強すぎました。かといって、4枚にはしたくありませんでした。そうこうしているうちに収穫祭&ギルドが発売され、4枚になるのわかるなあと一人で頷いていました。
・船の専門家「+1 アクション。現在かあなたの次のターンの開始時に、手札からカード1枚を廃棄し、あなたの場にあるカード1種類につき、+1 カードを引く」
5コスト。場に出ている種類だけカードを引くというのは誰でも考えるかと思います。それだけだと他に+アクションがないサプライで仕事しないので、自身に+アクションをつけ持続もするようにしました。そうなると逆にドローしすぎるサプライも出てくるので、廃棄をつけることで連打できないようにしたつもりでした。実際には、簡単に連打できるカードでしたね。
・移動民族「+2 カードを引く。手札からカード1枚を廃棄する。廃棄したカードよりコストが最大2多いカード1枚を獲得する。次に他のプレイヤーが勝利点カード1枚を獲得したとき、これを捨て札にする。」
4コスト。ドロー付き改築!ただし終盤にならないと帰ってきません。帰ってこないのはプラスでしょうか、マイナスでしょうか。
机上では完璧なカードでしたが、実際にプレイすると捨て札にするタイミングが分かりづらすぎました。相手の行動にリアクション+長期的な持続カード、の組み合わせは非常に忘れやすかったです。
非常に好きなカードでした。オンラインゲームだったら採用したいですね。移動民族というネーミングも気に入っています。色んな土地を渡り歩いているんでしょう。
・5コストのアクション、「+2 カードを引く。手札2枚を廃棄する。廃品1枚を獲得する」。
良いカードだったのですが、解体屋との競争に負けました。もったいなかったので、イベントの荒地整理にしました。
・「現在か次のターンの開始時に、コスト4以下のカード1枚を獲得する。それを手札に加えてもよい。そうした場合、手札を公開し重複しているカードをそれぞれ1枚になるまで捨て札をする。」
長い。
・2コストのアクション。「あなたの場にある命令ではないアクションカード1枚を、動かさずに使用する。----このカードを獲得したとき、すべてのプレイヤーは自分の場にない報酬カード1枚を獲得する。」
場のカードを使用するはみだし者というアイデアは昔からありました。この手のカードはサプライ依存度が高すぎるのが問題ですが、報酬があるので最低でも村は確保されています。持続カードを持続ターンに使用することもできます。
完璧なカードだと思ったのですが、カードの追跡に問題がありました。持続カードの持続ターンに使用すると、非常に面倒なことになります。これもオンラインカードですね。
・3コストのアクション。「+1 コイン。あなたの場にない報酬カード1枚を獲得し、あなたの場にある報酬カード1枚につき他のプレイヤーはカード1枚を引く。」
初期のカードです。報酬を活かしたインタラクション系カードはずっと考えていて、最終的には宴会主になりました。
・5コストのアクション。「コスト4以下のカード1枚を獲得する。山札の上から4枚を脇に置く。残りがある限り、あなたのターンの開始時にその中からカード1枚を手札に加える。」
長く持続することをペナルティに感じられるようなカードがいくつかありました。貿易船が完成したので、他は全て捨てました。
・5コストのアクション。「+3 カードを引く。あなたの手札を公開し、全てのアクションカードを脇に置く。残りがある限り、あなたの各ターンの開始時に、その中の1枚を使用する。」
長いこと没案にあり、なんとかならないか考えていたカードでもあります。最初の擬似圧縮と言えるかもしれません。
・「あなたの手札を公開する。公開したカードに…銅貨が含まれていれば、金貨1枚を獲得する。金貨が含まれていれば、銀貨1枚を獲得する。銀貨が含まれていれば、銅貨1枚を獲得する。」「あなたの手札を公開する。銅貨があれば、銀貨を獲得、銀貨があれば、金貨を獲得、金貨があれば他のプレイヤーは廃品を獲得する。」
この手のカードは調整が難しいですね。
・5コストのアクション。「+3 コイン。このターンに1度、あなたがカード1枚を獲得するとき、そのカードを表向きにして脇に置いてもよい。あなたの次のターンの開始時、そのカードをあなたの手札に加える。それが脇に置いてあるかぎり、他のプレイヤーが自分のターンにそれと同一のカードを獲得するとき、そのプレイヤーは悪貨1枚を獲得する。」
貨物船+封鎖です。やってることはそこまで複雑でもないですが、長すぎ。
・0,1,2,3,4,5,6コストを獲得するイベントがありました。
・取引ができる前、公領や属州をアクションカードとして使える横向きカードがありました。いくつか案はあったのですが、あまり面白くはならなかったです。
余談
今回の拡張は、枚数が
王国カード:362枚
ランダマイザ:36枚
サプライ外(報酬、廃品):70枚
取引:18枚
イベント:14枚
で計500枚になっています。やったぜ。